ASDやADHDの診断にWAISは必要ですか?
ASDやADHDの診断にWAISは必須ではありません。DSMでも、ASDやADHDの診断にWAISの実施は必須とされていません。
WAISが役立つ場面は、大きく二つあります。
1つ目は、診断の段階です。
WAISでは知的能力(話を理解する、考える、覚える、問題を解くといった全般的な「考える力」)を調べます。一方、ASDは主に人とのコミュニケーションや対人関係、こだわりや感覚の特徴、ADHDは主に不注意、落ち着きのなさ、衝動性をみる診断です。
つまり、WAISがみている知的能力と、ASD・ADHDで問題になる特徴は別のものです。ですので、WAISだけでASDやADHDを診断することはできません。一方で、WAISで知的能力を調べることで、お困りの症状を理解するうえで、知的能力の問題が関係していないかを考える手がかりとなり、知的障害との鑑別を考えるうえで役立ちます。
2つ目は、診断後の支援や環境調整を考える段階です。
WAISでは、知的能力の中で、どのようなことが得意で、どのようなことが苦手なのか、その凸凹の傾向をみることができます。
ただし、この凸凹があること自体は、ASDやADHDの診断根拠にはなりません。ASDやADHDのない方にも、知的能力の得意・不得意のばらつきはみられます。
一方で、ASDやADHDと診断された方について、知的能力の凸凹の傾向が分かれば、その知的能力のプロフィールを考慮して、仕事や学校での環境調整や支援を、よりその方に合った形で考えることができます。
つまり、WAISはASDやADHDそのものを診断するための必須検査ではなく、診断時には知的障害との鑑別を考えるうえで、診断後には知的能力のプロフィールを踏まえた支援や環境調整を考えるために役立つ検査です。
WAISは費用と時間を要するため、当院では発達障害の診療を受けるすべての方に一律には勧めません。まず当院の診察で、現在の困りごと、発達歴、生活上の支障を丁寧に確認します。知的能力の評価が診断や支援方針に有用と判断され、ご本人も希望される場合に限り、検査の受け方を個別にご案内します。WAISを受けていなくても、ASDやADHDについて当院へご相談いただけます。
本ページは精神科医が作成・医学的内容を確認しています。
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